作者紹介

略歴

学士号取得後、日本の企業と外資系企業で3年ほど人材育成や人事業務を担当。ニュージーランド語学留学を機に退し、英ビジネススクールにて、International Human Resource Managementの修士号を取得。

その後、日系企業のシンガポール本社に現地採用社員として勤務。タレントマネジメント/基幹人材育成を担当し、APAC・中国・オセアニア地域の販売会社および日本本社のピアと協業する一方で、日本人駐在員、欧米系駐在員、現地スタッフの板挟み橋渡し役も務めました。

しかし、5年でバーンアウト。趣味だったスキューバダイビングを仕事にするため退社し、安定した生活を手放しました。ホンデュラスにてインストラクターのライセンスを取得し、インドネシアとタイのダイブショップに勤務。2017年以降は、旅をしながらフリーの翻訳家および通訳として働いています。

ひとつの場所に留まっていられないのは、そういう星のもと(単なる転勤族の家庭)に生まれたからということにしています。TPOと気分に応じて、現実主義者にも夢想家にも、社交的にも根暗にもなれる柔軟性を大切にしています。

旅について

私にとって旅は、私自身を“内側から自由にしてくれる唯一無二のものであり、私の生活、そして人生そのものです。

私たちは、人生を通して様々な常識や価値観や固定観念を身に付けますが、残念ながら、それは馴染みある環境を一歩出た途端に大した意味を持たなくなると思っています。むしろ、変化の絶えない世の中で、自分が正しいと信じている常識や価値観や固定観念に固執していると、逆に自分を苦しめてしまうことが多くなります。

旅は、その常識や価値観や固定観念を嫌でも破壊し、私から引っ剥がしてくれるもの。そのプロセスは痛いですが、繰り返していると自分にとって本当に大切なものだけが残ってきます。そして旅は、自分が幸せであるために必要なものが実は驚くほど少ないことにも気付かせてくれます。

ここ最近は中東、ヨーロッパ、南米が中心です。特に心を惹かれたのはレバノンとエクアドル。日本国内では銭湯と史跡をめぐる旅が好きです。

旅先では、現地の人々とラポートを築くことを大切にしています。彼らの信頼を得て、彼らに受け入れてもらって初めて旅人は、現地での“生活”をスタートさせることができると考えているからです。

そのためには、その土地の歴史的・文化的・宗教的・経済的な背景を理解して、その土地の言葉を話す努力をすることが必要だと個人的に思っています。

背景を知ると、その土地の人々が特定の行動や考え方をする理由、その人たちにとって大切なことなどが少しずつ見えてきます。その土地の言葉については、単語の羅列でも、自分の発音になまりがあっても、文法が間違いだらけでも気にしません。完全に通じなくても、紙とペン、ボディランゲージなどをフル活用し、頑張って伝えよう、理解しようという気持ちがあれば、心と心がつながります。場合によっては言葉が通じるときより深く。そして、そのつながりはいつも私に「生きていてよかった」と思わせてくれるのです。

師匠(勝手にそう呼んでいる)は、フジテレビのドキュメンタリー番組『グレートジャーニー』のプロデューサーを務めた松尾伸彦氏。

風の上にありか定めぬちりの身は
行衛も知らずなりぬべらなり